会社案内 事業内容 製品実績 技術報告 採用情報 ☎ 072-949-8872 見積・製作相談はこちら

薄板SUS304製三槽式沈殿槽における差込式仕切板の水圧自己密着と低歪み施工

技術報告 No.001

研磨粉含有排水を対象とした実機設計・製作・水張り試験

技術的なポイント

  • 3槽式のSUS304製沈殿槽
  • 清掃可能な差込式仕切板
  • 水位差による仕切板の自己密着
  • 全面連続溶接を避けた低歪み施工
  • 止水機能をシール材へ分担
  • 実機水張り試験による水位差保持の確認
三槽式沈殿槽の実機水張り試験
実機水張り試験。3槽に異なる水位が形成・保持された状態。
目次

概要

研磨粉を含む排水を段階的に沈降させるため、SUS304製の三槽式沈殿槽を設計・製作しました。

本件では、清掃時に仕切板を上方へ取り外せることと、運転時には各槽の水位差を保持することの両立を目的としました。槽本体はSUS304 t1.5mmの薄板であるため、仕切ガイドを過度に溶接すると熱歪みが生じやすくなります。そこで、溶接にすべてを負担させるのではなく、位置決め・止水・密着の機能を分ける構造を採用しました。

設計上の課題

仕切板を抜き差し可能にするには、板とガイドの間に製作・挿抜のためのクリアランスが必要です。しかし、クリアランスを大きくすると水が短絡し、水位差が失われます。逆に隙間を小さくしすぎると、薄板の反りや溶接歪みによって仕切板が入らない、あるいは清掃時に抜けない恐れがあります。

また、SUS304薄板の槽にガイドアングルを全面連続溶接すると、止水性は高めやすい一方で、熱歪みによって槽やガイドの寸法精度が悪くなる恐れがあります。

三槽式沈殿槽の差込式仕切板と水圧自己密着の模式図
最終構造の模式図。仕切板は差込式とし、ガイド背面をシール材で止水。水位上昇時には仕切板が下流側ガイドへ押し付けられる。

採用した構造

本件では、機能を三つに分けて考えました。

  • 位置と強度:必要最小限の溶接
  • ガイド背面の止水:シール材
  • 仕切板の密着:水位差による静水圧

このように、溶接へ「強度・位置決め・水密」をすべて負担させず、役割を分けることで、薄板の歪みを抑えながら必要性能を確保しました。

実機水張り試験

完成後、清水による水張り試験を実施しました。注水開始直後には、想定どおり仕切板とアングルの隙間から水の移動が確認されました。水位が上昇すると仕切板が下流側ガイドへ押し付けられ、漏水が目視上大きく減少しました。最終的に三つの槽には異なる水位が形成され、その状態が保持されました。

本件の技術的な位置づけ

多槽式沈殿槽、脱着可能なバッフル、水圧を利用する止水板はいずれも既知です。本件の意義は、既知の物理現象そのものを新発見したことではなく、町工場で製作する薄板SUS槽の条件に合わせ、初期漏水を許容する差込式仕切り、水位差による金属面の自己密着、全面連続溶接を避けた低歪み施工、シール材による水密機能の分担を、簡素な一体構造として実装し、実機で成立を確認した点にあります。

同様の製作について

同様の沈殿槽・排水槽・特殊ステンレス槽・清掃性を考慮した製作物については、お気軽にご相談ください。図面がない段階からのご相談、現場条件に合わせた設計、製作、試験まで対応しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人